長年連れ添った夫婦でも、若いカップルでも、違う人間2人が、時間を共有し、ともに生きていく中で、色々な種類の問題が出てくるのは自然なことです。カウンセリングの文化が進んでいる欧米と比べて、特に日本人を含めたアジア人の間では、小さな問題が未解決のままどんどん積み重なって、怒りと忍耐が沸点に到達した際に、カウンセリングにアクセスするという方が多いようです。
では2人の関係において、どんな問題が多いのでしょうか。
1.お金
お金は、安全や自由、気前の良さやライフスタイルにまつわる個人の価値観を反映します。だからこそ大きな問題になり得ます。
2.家事の分担
カップルの一方が、「自分だけが家事をしている」、「分担が平等ではない」などと憤りを感じている時、それが爆発すしてしまうまでに至ることもあります。
3.力関係
「対等に意見が主張できていない」、「意思決定に平等に参画できていない」と感じる時、もっと自分の声を聞いてほしい!という意思を様々な形で伝えようと努めます。その過程においてあつれきが生まれることがあります。
4.セックス、愛情表現
人間は皆、時間と共に変化するように、欲求も変化します。どの年齢の男性も女性もたゆまず変動する性欲(リビドー)を有しているのです。恥ずかしさや気まずさ、相手は私が望んでいることを知っているべきだ、との考えから、性的・親近さのニーズを話しにくいと感じる時もあるでしょう。
5.家族
自分の世界をパートナーの世界と併せていくということは、家族、友達、連れ子などを含む世界を生きることです。そこは異なるニーズや期待が混同している世界です。特に、国際カップル間では、一方の家族が海外にいて、互いの家族や友達と過ごす時間のバランスが取れなかったりするなどの不平等さからの不満、また、同じ文化からのカップルでも、海外に住んでいる場合、互いに依存し過ぎてしまうこともあります。
これらの問題は、問題が大きくなる前だったら修復への過程がもう少し簡単に済んだのに、別れることを考えるまでに引き伸ばされてしまうという場合が多いようです。「何か変わってしまった、おかしい」と感じた時がカウンセリングにアクセスするタイミングかもしれません。
これらの問題を解決していくのに重要なのは、言わずもがなコミュニケーションなのですが、それが難しくて悩まれている方が多いと思います。次回のコラムで、2人の関係を良いものにするために、コミュニケーションにおいて重要なことについて触れたいと思います。