COVID19の外出規制が緩和される中で、かつての日常に次第に戻っていくのは楽しい経験だけとは限りません。むしろ再び「適応」を要するので、戸惑いやストレスを感じたり、人が集まる場所に行って大丈夫なのかと不安感を覚えたりするでしょう。また、今までコロナが紛らわせてくれていた根底にある心の問題が表面化してくることも考えられます。
こころの健康のためにできることの1つとして、セルフコンパッション(自分への思いやり)を高めていきましょう。
色々な定義がありますが、私は、「こころの痛みを認めてあげて、優しく自分に接すること」と考えています。
セルフコンパッションの巨匠とも言えるKristin Neff博士は、セルフコンパッションには3つの要素があると提唱しています。
1)自分への優しさ:自己批判したり、こころの痛みを無視するのではなく、いつくしみを持って受け入れる。
2)皆そうであるという共通性:困難や失敗を経験しているのは自分だけではない。皆、葛藤している。
3)マインドフルになること:過去や未来のことではなく、今この瞬間何を感じているか(感情、思考、感覚)に意識を集中する。
しかし、「自分に思いやりを持つなんて、できない!したくない!」という人も多いです。
よくある障壁としては、「それは弱さ、甘えだ」「自己中心的だ」との考えだったり、「自分に厳しい方が頑張れるし謙虚でいれる」というもの。「自分は思いやりに値しない」という考えや「過去に他人から思いやりを得た経験がない」「やりたくても実践法が分からない」という人、「こころの痛みが強すぎて何もできない」という人もいるでしょう。
でも思い出してみてください。
自分の友達が苦しんでいる時、あなたは何と言い、何をしてあげますか?
それを自分にできないのはなぜでしょうか?
飛行機の中で非常事態時、酸素マスクをまず自分に装着してから子どもや周りを助けるのはなぜですか? 自分のケアを怠って、他人に優しくなれるでしょうか?
頭では分かっていてもどうしても難しく感じる場合は、カウンセリングを利用して、過去・現在の自分を深く見ていくことで、その背景が分かり、難しさを和らげることができるでしょう。
ここでは日々実践できる方法を紹介したいと思います。
1. 自分のこころの痛みに気付き、名付けてあげましょう。「あぁ、今私は○○だから悲しいんだ」。詳細は、過去のコラムをご覧ください。
2. 「それはどんなに困難なことか、辛いよね」と受け入れてあげてください。辛さや痛みを感じない人はいません。人間誰もが葛藤します。
3. 自分の体の感覚に意識を向けましょう。例えば、椅子に姿勢を正して座り、床に触れている足の裏はどういう感覚か?腕や首をストレッチ、どう感じますか。肩に力を入れて一気に解き放つと?
4. 意識を自分が今している活動に向けましょう:何が見え、何が聞こえ、何の匂いがしますか、今何をしていますか。
5. セルフケアの活動をしましょう。気持ちが少し楽になったり、好きな活動なら何でもいいのです。何か簡単に始められることをぜひ試してみて下さい。
例)散歩、茶葉から茶を淹れる、友達に電話する、花を買う、お風呂に入る、日本のテレビ番組を観る、日の出・日の入りを観る、横たわって雲の流れを眺める、手紙を書く、キャンドルを立てる、携帯を1日オフにする。
自分は自分のいちばんのMate(友達)。
自分自身に対して、あなたはどんな友達になりたいですか?
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