トラウマ的な経験をした後、そこから生き延びるだけではなく、人として成長することを「心的外傷後成長」 (Post-traumatic growth)といいます。コロナ渦以後、その研究が進んでいます。
コロナ渦による影響は人によって様々ですが、戦争やウイルスの脅威、自然災害など、社会・地域全体に影響を及ぼしている事象からの心理的ストレスを「集団的トラウマ(Collective Trauma)と呼ぶことがあります。
この集団的トラウマはあなたにとってどんな経験でしたか?そこからの成長を感じることはありますか?
どう成長したかを図る際にみる要素として以下の5つがあります。
1.人生への感謝:人生への違った観点や哲学、優先順位や価値観の変化、見逃しがちな存在に気づく(例. 夕焼け、花)
2.人間関係:人間関係への新しい観点、真の友人は誰か/困難な時に誰に頼れるかを理解、思いやりや共感、感情表現や助けを求められるように
3.生活における新しい可能性:自分への気づき、新たな道への可能性、新しい興味や習慣、長年耐えた境遇を改善する
4.人としての強み:自分の見方への変化、個人的弱みや強みへの認識、困難に耐え抜ける自信、犠牲者マインドからの脱却
5.スピリチュアル/実存的な変化:信仰有る無し問わず、人生に対する思考や信条を深める
以上のようなポジティブな変化ではなく、当然、コロナ渦による集団的トラウマからのネガティブな変化もあり、苦しんでいる人は多くいます。例えば、
· 同じ思考を何度も反芻してしまう
· 無気力さ「何も変えられない」
· 圧倒的な恐怖感と無力さ
· 怒り、苛立ち
· 疲労感、長期的な気分の低下
· 全てのことにおいて意味を追求してしまう
· 問題解決ばかりに奔走してしまう
· 無力さに直面すると、誰かに責任を追及したくなる
などです。
コロナ禍は、無意識のうちに、生活/人生の様々な側面にまだ影響を与えていると感じます。理由はわからないが辛いと感じる人も、どんな意味があったのか探りたい人も、カウンセリングをうまく利用ください。
Tedeschi, R. G., & Calhoun, L. G. (1996). The Posttraumatic growth inventory: Measuring the positive legacy of trauma. Journal of Traumatic Stress, 9(3).
Hirschberger, G. (2018). Collective trauma and the social construction of meaning. Frontiers in psychology, 1441.
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